ハンマースホイのグレー

ハンマースホイは19世紀デンマークの画家。
名前を聞いたことがなかったので国立西洋美術館開催の「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」はノーマークだった。
あの印象的な後姿に遭遇するまでは。

図書館に行く時は、美術展ポスターが貼ってある一角をチェックするのが常。
大規模な展覧会以外は、ここに貼ってあるポスターを見て、「あ、気になる。」と思い行くことが多い。
それが、「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」の時期は、芸術の秋のせいかポスターが貼りきれなかったようで、なぜか一枚だけ書棚の間にひっそりと貼られていたのだ。
本を探して視線を走らせたときに、ふと書棚の影から女性の後姿が。
画像

『背を向けた若い女性のいる室内』

はっ。
まるで本棚の奥へといざなわれているかのように思えて。
観にいくことにしよう。

北欧のフェルメールとたとえられるように、静謐な絵で有名なのだと知り、満を持して出かけた『フェルメール展』と同じ日に観覧する。

今日の一枚
画像

デンマークのベネディクト女王所蔵の『パンチボウルのある室内』。
『背を向けた若い女性のいる室内』にあるロイヤルコペンハーゲンのパンチボールと同一のものが描かれた作品。
居間にパンチボールが置かれただけで、誰もいないんだけど、北欧の淡い光が感じられるグレー(もしくは薄い藤色?)の壁紙とか、誰かが直前に座っていて今まさに立ち去ったかのような気配に目を奪われる。
それと、このロイコペのパンチボールと同じものが展示されていて、「絵柄も白地もいいなー。」と気に入ってしまったせいも。

北欧の絵画は、陽の光の弱さのせいか、雪景色のせいか、グレーのイメージ。
でも暖かさを加えたグレーと思っていたんだけど、ハンマースホイの絵は、今まで見たことないグレーの連続だった。
とことんまでグレーな、誰も居ない『雪のクレスチャンスボー宮殿』は、観ていて体の中にすーっと冷えたものが通るようで。こう書くとマイナスみたいだけど、嫌じゃないのだ。
あと、室内の陽だまりを描いた作品も好きだった。

こうして生涯に渡るいろんな作品を観てみて最後に思ったのは、「北欧の独特な光を描きたかったのかな?」ということ。
とにかく観ていると何かを語りたくなってしまうような面白い展覧会だった。

それと、”北欧のフェルメール”だけれど、人物と場の生々しさがフェルメールと思っているせいか、ハンマースホイを見てもフェルメールを連想することはなかった。
それよりも、「フェルメール展」で出展されていたピーテル・デ・ホーホの『食料貯蔵庫の女と子供』(1658年)を見たときにハンマースホイを思い出した。

それとびっくりなことに、一緒に見たM氏が、なんと図録を購入していた。
身一つで生きているようなM氏は、よっぽど気に入った展覧会以外は図録を買ったりしない。それってすごい気に入りようだ。
私の記憶では、ろうそくの炎が印象的だった高島野十郎展以来のこと。
M氏が好きなホッパー、ハンマースホイ、高島野十郎って何か通じるものがあるような気がする。
なんとなく殺伐?対象はシンプルなんだけど深い物語性がある?うまく説明できないけど。


デンマークの女王といえば、マルグレーテ2世女王がデコパージュした『雪の女王』。
とっても素敵なのだ。


THE SNOW QUEEN・雪の女王
プチグラパブリッシング
ハンス・クリスチャン アンデルセン

ユーザレビュー:
デンマーク女王の手に ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ


"ハンマースホイのグレー" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント